豆酘の『サンゾーロー祭り』と『亀ト』
亀トとは亀の甲に火をつけたサクラの枝をあて、ひび割れの位置、方向によって天下国家の吉凶を占うものです。
豆酘の雷(いかずち)神社は明治4年(1871)の廃藩まで公式に亀ト(きぼく)が行われたことで知られていました。この祭礼を俗に「サンゾーロー祭り」といわれています。
貞亭3年(1686)の「対州神社誌」には、「嶽之大明神。身体は則岩也。社無之。殿様の御占并郡中の焼占、正月三日に仕る」あり、神主はト部(うらべ)の末裔という岩佐氏の世襲で69代目・岩佐教治さんにより神事が進められる。殿様(島主)の御運、藩中の動静、朝鮮貿易の吉凶、群中の作物の豊凶などを占ったことが報告されおり、公式には明治4年の廃藩まで行われました。
社祠はなく、磐座(いわくら)を祭場とし、正月3日に年占いの亀トが行われたことを録している。現在この亀トは形骸化したが、祭礼の次第はほぼ古式に伝承されていると云う。貴重な民俗資料(祭祀習俗)として有名であり、市指定並びに国選択の無形民俗文化財に指定されています。「サンゾーロー」は俗称と云われ、儀式のはじめに神使が新年の挨拶祝詞を告げるなかで、供僧らが「さん候」と応答することに由来したものとみられます。
ト部の末裔である岩佐教治さんにより神事が進められ、村人が見守る中、87本の矢竹が供えられた神前で一年間の吉凶をトい、ひらめいた事柄を半紙に書き留めていきます。
「サンゾーロー祭」国選択無形民俗文化財 昭和54年12月06日指定
「対馬の亀ト習俗」市指定無形民俗文化財 昭和54年12月06日選択